『二階の子供』 ― よく考えると怖い話 ―
一軒家の中古物件を購入して、新しい町へ越してばかりの頃。
わたしが来客の応対に出ると
「奥さんこれから大変ですね」とか
「お子さんおいくつなんですか?」とか
とよく声をかけられました。
わたしは老け顔かもしれませんが、まだ20歳の学生です。
そんなある日、二階の押入れのふすまが、少し開いていることに気付きました。
わたしは特に気にせず、ふすまを閉じました。
その時、玄関チャイムが鳴りました。
近所のおばさんが回覧板を届けに来ていました。
応対していると、その人は玄関脇の階段から二階を見上げ、幼い子供に話しかけるように、
「こんにちはー」
と笑顔で手を振りました。
その人を見送ったあと、わたしは階段を駆け上りました。
見ると、さっき締めたはずのふすまが開いていました。
わたしは、ふすまが開かないようにつっかえ棒をし、ガムテープで目張りをしました。
それ以来、時々バンバンバンとふすまを叩く音はしますが、お子さんがどうのこうの言われなくなり、問題なく暮らせています。
文章:百百太郎
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